この度、第28期(2023~24年度)の会長を仰せつかりました静岡県立大学の鴨川仁です。2年間の任期中の間、全力で本学会に尽くしますので皆さまのご理解、ご協力どうぞお願いいたします。
さて、時代の変化に対応し、本学会も一層の改革が求められるなか、歴代会長のご尽力により、近年数々と改革が実施されてきました。例えば、財政健全化、会費の値下げ、学会誌等のデジタル化などが実施され、現在に至っております。私共、第28期の運営委員会の総意として、若手の参画機会を増やすための環境整備を行うとともに大気電気関連学会との交流による本学会の永続的な活性化を目指すための種まきを行いたいと考えております。
ご存じの方が多いことと思いますが、日本の研究環境は科学技術先進国の中でも、とりわけ低成長であり、博士課程進学者の低下、若手研究者のポストの削減など永続かつ安定的な研究ができる環境とは言い難い状況が続いております。幸い本学会は、大学に勤務する会員のご尽力で、多くの学生による研究発表会での発表と活発な議論がなされており、その発表件数は、毎年全体発表件数の半数前後を占めるという望ましい状況が続いています。しかし、後期博士課程学生、ポストドクター、若手常勤研究者の発表となると、シニア、ベテランの常勤の研究者と比較して、件数が少ないのが現状であり、将来の後継者不足という、日本の多くの学会が抱えている同様の問題をかかえています。本学会では、これらの問題を長期的な視野に立って解決していく必要があるとの強い危機感をもっております。このため、第27期長門前会長の元では、歴史ある本学会の知見を多くの若い世代に触れてもらうために、一時代を築きあげられた多くの先生方の経験をお聞きする機会を第100回の研究大会で設けたことをはじめとして、学会としての資産継承ができるような環境が徐々に整いつつあります。この一環として、今期は、運営委員に若い研究者も入ってもらうことにより、運営面における若返りと若手の熱意が反映される環境を作ることにいたしました。また、前述の資産継承の一環として、発刊が遅れている大気電気学の新しい教科書についても、今期中に時代に合わせたような出版形態で早期に発刊を行いたいと考えております。このほか、学会の活性化および会員サービスの向上のため、前期から検討がされて、会員から要望もありました、JAEの掲載料無償化を2023年度にテストケースとして早速行うことにいたしました。これにより、2023年4月1日以降に投稿されました論文は掲載料が無償になります。JAEはすでにオープンアクセスになっていることから、国内外の多くの研究者の目に触れる機会が増えるとともに論文へのアクセスもしやすい環境になっておりますが、掲載料の無償化により投稿への敷居を下げることで、投稿件数の増加と質の更なる向上も期待されると考えております。今年度はテストケースとして行いますが、活性化がなされているかなどの検証報告は、第102回の研究発表会期間中に実施予定の総会にて中間報告を行う予定です。多くの会員の皆さまの投稿を心よりお待ちしております。
この他、研究発表会については、コロナ禍の影響で、対面での研究発表会が第98回~第100回発表会は開催できませんでしたが、長門前会長のご尽力により、開催は危ぶまれていたものの、今年1月の第101回研究発表会でやっと対面による開催が実現できました。次回の第102回研究発表会は2024年1月に対面での開催を予定しております。日程は、2024年1月6日(土)~7日(日)で、場所については現在調整中です。どうぞ万難を排して、多くの皆様に発表および聴講に参加していただければと存じます。
鴨川 仁
静岡県立大学