会長からのご挨拶

長門 研吉

高知工業高等専門学校
ソーシャルデザイン工学科

 この度、第27期日本大気電気学会会長を仰せつかりました。令和3年4月1日から2年間の任期になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 大気電気学は地球環境中の様々な電磁気現象を研究対象とする学問分野です。例えば、雷に関連する電気現象及び気象、大気電場や大気の電離現象、地震に伴う電磁気現象など多くの現象を対象としています。大気電気学という学問分野の特徴は、これら個々の現象の科学的解明を目指すだけでなく、各現象を通して地球をシステムとして理解することを目指していることです。その代表的な成果がグローバルサーキットです。雷を電源として電離層、大気、地表の間で地球規模の電気回路が形成されているというこの概念は、大気電気学の目指していることを象徴するものです。地球環境における電磁気現象の研究は他の様々な学問分野でも行われていますが、電気的な側面を通じて地球システムを理解するという観点は大気電気学ならではの研究の取り組み方と言えます。このような研究の発展を目指して、日本大気電気学会は活動を続けています。

 大気圏を中心とした地球の電磁気現象は非常に幅広く、新しい知見が得られるとともに対象となる現象も広がってきました。日本大気電気学会ではそれまでの大気電気学の枠にとらわれずに、新しいテーマの研究も積極的に受け入れてきました。そのような自由度の大きさが、本学会がアクティビティを維持できている大きな要因です。本学会は小規模な学会ではありますが、雷、竜巻、豪雨、地震、放射能、大気汚染、電離層状態など社会的関心の高いテーマに取り組む研究者が多く集まって、最新の研究に取り組んでいることも大きな特徴です。このような研究成果を社会に発信・還元していくことも本学会の重要な役割です。

 日本大気電気学会は、その前身も含めると五十年余の歴史のある学会ですが、国内外の学術分野の動向や社会意識の変化、および近年の急激な社会環境(特に情報環境)の変化に合わせて、過去10年の間に学会活動の様々な見直しと改革を進めてきました。学問の発展を促進し、同時に現代社会のニーズに応える学会のあり方の模索は今後も継続していきます。このため、皆様のご支援とご協力を引き続きお願い申し上げます。

 さて、今年1月に開催された定期総会において、以下の活動方針が今期へ継続されることが承認されています。

  1. 大気電気学会誌および論文誌JAE(Journal of Atmospheric Electricity)の発刊
  2. JAE発刊40周年及び第100回研究発表会の記念事業の検討
  3. JpGU(日本地球惑星科学連合大会)における大気電気セッションの開催継続
  4. 研究発表会におけるポスターセッションの実施
  5. 広報活動、社会貢献、教科書出版、国際交流
  6. JAE過去論文のJ-Stageアップロードの完了

今期はこれらの活動とその改善に取り組んでまいります。

 大気電気学会誌およびJAEの発行は会員サービスとして重要であると同時に、学会外部への情報発信、広報活動としても大きな役割を持っています。タイムリーな記事、柔軟な掲載形態、アクセスのしやすさなど会誌・論文誌としての価値と利便性の向上を引き続き図っていきたいと思います。

 毎年1度開催されている研究発表会は学会の中心的な活動です。近年は2日間の日程で非常に多くの講演が行われている状況が続いていますが、より充実した学術的交流を目指してポスターセッションの導入が検討されてきました。ところが今年1月の研究発表会はコロナ禍の影響を受けて急遽オンライン開催となったため、ポスターセッションの導入は見送られました。今後も引き続きオンライン開催の可能性もあることから、それを踏まえた研究会の開催方法について検討していきたいと考えています。なお、2022年1月開催予定の研究発表会は第100回の記念すべき発表会となります。これに合わせて、これまでの日本大気電気学会の歴史と未来を見据えた記念事業を行いたいと思います。

 学会の活動を活性化し、継続・発展させていくためには、新たな会員を迎え入れることが大切です。大学や研究機関に所属する研究者だけでなく、企業に在籍し研究を行っている研究者・実務者やオープンサイエンスとして当分野の研究に取り組んでいる市民研究者も増えてきていることから、これらの方々に活動の場を提供することがこれまでに増して重要であると考えています。

 会員の皆様にとってより魅力的な学会になるようにすると同時に、より社会的貢献が果たせる学会になることを目指して皆様と力を合わせていきたいと思います。改めて会員の皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。